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個人の借金も自己破産できる?注意点と対処法、相手に迷惑をかけない方法も解説

この記事でわかること
  • 個人の借金も自己破産で解決できる
  • 個人の借金を隠して自己破産の申し立てをしてはいけない
  • 自己破産が終わる前に個人の債権者にのみ返済してはいけない

友人や知人、親族など、個人からの借金を返せずにお困りの方も多いことでしょう。借入残高が大きい場合は、「個人間の借金でも自己破産できるのか」と気になるのではないでしょうか。

結論からいうと、個人からの借金も自己破産で解決できます。ただし、個人間の借金がある場合には、貸金業者からの借金のみで自己破産する場合とは異なる注意点がいくつかあります。

この記事では、個人間の借金で自己破産する場合の注意点と、その対処法を解説します。相手に迷惑をかけずに自己破産する方法も解説しますので、ぜひ参考になさってください。

個人の借金も自己破産で解決できる

個人からの借金も自己破産の対象となり、免責が許可されると返済義務がなくなります。

破産法には、免責が許可されても返済義務がなくならない「非免責債権」が定められていますが、個人からの借金は非免責債権に当たりません。

個人からの借金も貸金業者からの借金も、ともに金銭消費貸借契約に基づくものであり、法的性質は同じです。そのため、自己破産手続きにおける取り扱いもまったく同じです。

したがって、個人からの借金も自己破産で解決できます。

個人の借金で自己破産する場合の手続きの流れ

個人の借金で自己破産する場合の手続きの流れは、以下のとおりです。貸金業者からの借金で自己破産する場合の手続きと基本的に同じですが、ひと通り確認していきましょう。

  1. 債権者一覧表に借金を記載して申立て
  2. 管財事件になれば債権届の提出
  3. 高価な財産があれば換金して配当
  4. 裁判所から債権者へ免責に対する意見の聴取
  5. 免責許可決定

債権者一覧表に借金を記載して申立て

自己破産を申し立てる際には、借入先の名称や住所、借金の使途、現在の残高などを記載した債権者一覧表を作成し、申立書と一緒に裁判所へ提出します。

管財事件になれば債権届の提出

裁判所が申立て書類を確認し、高価な財産がある場合や、著しい浪費やギャンブルなどの免責不許可事由が認められる場合などでは、破産管財人が選任されます。この流れで行われる破産手続きのことを「管財事件」といいます。

管財事件になれば、裁判所から個人の債権者に対しても破産手続が開始されたことが通知され、併せて、債権届出書を裁判所へ提出するように促されます。

したがって、遅くとも破産手続開始時点で、あなたが自己破産をしたことが相手に伝わります。

なお、大半のケースでは破産管財人は選任されず、破産手続きが開始されると同時に廃止され、直ちに免責の手続きに移ります。この流れの手続きのことを「同時廃止事件」といいます。

高価な財産があれば換金して配当

破産者が高価な財産を所有している場合には、破産管財人がその財産を売却するなどして換金し、各債権者に対して平等に配当します。

以下の表は、簡単な一例ですが、債権者Aが受け取れる配当額を表したものです。

借金総額 500万円
債権者Aからの借入額 100万円
配当総額 200万円
債権者Aが受け取れる配当額 40万円(200万円×100万円/500万円)

裁判所から債権者へ免責に対する意見の聴取

破産者が負っている借金の返済義務を免除する裁判所の決定のことを、「免責許可決定」といいます。

裁判所は、免責を許可するかどうかを判断するために、各債権者からの意見を聴取します。

貸金業者は、破産者に免責不許可事由があることを具体的に把握している場合を除いて、何の意見も述べないことがほとんどです。

しかし、個人の債権者は感情的になり、さまざまな意見を述べることがあります。

債権者から何らかの意見が述べられた場合は、裁判所で「免責審尋期日」が開かれ、破産者や代理人弁護士からの釈明を求められることもあります。

免責許可決定

最終的に免責不許可事由が認められなければ、裁判所が免責許可決定を行います。

免責許可の決定書は各債権者へ送達されるので、個人の債権者にも免責されたことが知られます。

免責許可決定後約1ヶ月間の間に債権者からの不服申し立て(即時抗告)がなければ免責許可決定が確定します。免責許可決定が確定して初めて、借金の返済義務が免除されることに注意が必要です。

貸金業者が即時抗告を行うことは滅多にありませんが、個人の債権者は、やはり感情的になり即時抗告を行うことがあります。

即時抗告が行われると、高等裁判所において、主に書面で当事者の意見を聴いて免責許可に関する審理が行われます。

高等裁判所の審理でも免責不許可事由が認められなければ、即時抗告は棄却され、免責許可決定が確定します。

個人の借金で自己破産する場合の注意点と対処法

個人の借金で自己破産する場合には、以下の点に注意しなければなりません。それぞれの注意点について、対処法も併せて詳しく解説します。

  • 個人の借金含め全部の借金を申し立てなくてはならない
  • 借用書がないと借金額が判明しないことがある
  • 個人の債権者にのみ返済してはいけない
  • 個人の債権者からの取り立ては止まらないことがある
  • 免責に反対されることがある

個人の借金含め全部の借金を申し立てなくてはならない

自己破産は、個人の借金も含めて全部の借金を対象として申し立てなくてはなりません。

これは、自己破産の手続きに「債権者平等の原則」が適用されることによります。自己破産は法律で強制的に借金を全額免除するという、債権者の利益に重大な影響を及ぼす手続きであることから、すべての債権者を平等に取り扱わなければならないとされているのです。

相手に迷惑をかけたくないと考えたとしても、個人の借金を隠して自己破産を申し立てると、以下のリスクを負ってしまいます。

  • 免責不許可となる(借金が0にならない)
  • 刑事罰を科せられる

意図的に特定の債権者を除外して自己破産を申し立てる行為は、「虚偽の債権者名簿の提出」という免責不許可事由に当たります。そのため、原則として免責が許可されず、借金がすべて残ってしまいます。

裁判所には借金の使い途やお金の流れなどを具体的に説明する必要がありますが、個人の借金を隠して申し立てると不自然な点が出てくるため、ほとんどの場合はバレてしまいます。

裁判所に対して説明を拒んだり、虚偽の説明をしたりすると、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」という刑事罰を科せられるおそれがあることにも注意が必要です。

この注意点への対処法としては、個人の借金も正直に債権者一覧表に記載して、自己破産を申し立てるしかありません。

個人の債権者との感情的なトラブルを回避するためには、申し立て前に事情を伝え、必要に応じて謝罪するなどして、理解を求めた方がよいです。

借用書がないと借金額が判明しないことがある

個人間の借金では、借用書を作成していないことも多いものです。借用書がなければ、借入額や残高が明確に分からないこともあるでしょう。

このような場合、債権者一覧表には記憶に従って借金額を記載するしかありません。できる限り、通帳や振り込み明細書、相手とやりとりしたメールやLINEなどの資料を探し、合理的と考えられる借金額を割り出しましょう。

どうしても借金額が判然としない場合には、陳述書に「記憶の限りでは…」と正直に断った上で、記憶している限りの事実を記載しておくのがベターです。

同時廃止事件では債権調査が行われないため、合理的な説明ができればほとんどの場合は問題ありません。

管財事件では、破産者が債権者一覧表に記載した金額と、債権者が債権届出書に記載した金額が異なることもあります。

この場合には、破産管財人が債権調査など所定の手続きを経て、借金額を確定させます。その過程で、破産管財人から事情聴取や資料の提出を求められることがあるので、協力するようにしましょう。

個人の債権者にのみ返済してはいけない

自己破産の手続きが終わる前に、個人の債権者にのみ返済することは控えてください。

特定の債権者にのみ優先的に返済することを「偏頗弁済」といいます。自己破産をする場合、偏頗弁済は禁止されている行為です。

もし、偏頗弁済をしてしまうと以下のリスクが生じます。

  • 免責不許可となる(借金が0にならない)
  • 管財事件となり否認権を行使される
  • 刑事罰を科せられる

偏頗弁済も免責不許可事由とされています。破産管財人による否認権の行使によって回復できない場合には免責が許可されず、借金がすべて残ってしまうことになりかねません。

否認権の行使とは、破産者が行った弁済などの法律行為を破産管財人が取消すことを指します。

つまり、個人の債権者にのみ返済した行為がなかったこととみなされ、偏頗弁済した金額は、破産管財人によって債権者から取り戻されるのです。こうなると、相手に対して余計に迷惑がかかってしまいます。

また、偏頗弁済は「特定の債権者に対する担保の供与等の罪」に該当することがあり、悪質な場合には「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方」という刑罰を科せられるおそれがあることにも注意が必要です。

個人の債権者からの取り立ては止まらないことがある

自己破産を申し立てて破産手続開始決定が出ると、基本的には取り立てが止まりますが、個人の債権者からの取り立ては止まらないことがあります。

これは、貸金業者は自己破産のルールを理解しているのに対して、個人の債権者の中には自己破産のルールに理解を示さない人もいることによります。

破産手続開始決定後は、債権者といえども担保権を有している場合などを除き、原則として破産手続きを通じてしか権利を行使することができません。しかし、個人の債権者はこのルールを知らなかったり、知っていたとしても感情的になったりして、取り立てを継続することがあるのです。

対処法としては、相手にルールを説明して理解を求めることが基本となります。厳しい取り立てが執拗に行われる場合には、警察に相談したり、民事保全法に基づく「接近禁止の仮処分」を申し立てることも考えられます。

免責に反対されることがある

個人の債権者は、自己破産の手続きの中で免責に反対してくることもよくあります。

前章の自己破産手続きの流れでご説明したように、債権者は裁判所に対して免責に関する意見を述べたり、免責許可決定に対する即時抗告を申し立てたりすることができます。

債権者としては、免責が許可されると債権を全額失ってしまうのですから、特に個人の債権者は感情的になり、免責に反対することが少なくないのです。

対処法としては、やはり事前に理解を求めて、自己破産手続きに協力してもらえるように伝えておいた方がよいでしょう。

もし、免責審尋期日が設けられたり、即時抗告が行われたりした場合は、免責不許可事由がないことを裁判所に釈明することになります。

免責不許可事由がなければ免責は許可されますので、個人の債権者からの感情的な反対を必要以上に恐れる必要はありません。

個人の債権者に迷惑をかけずに自己破産をする方法

自己破産をするとしても、できる限り個人の債権者には迷惑をかけたくないと考えるのも自然なことです。相手が友人や親族、職場の上司など大切な人であれば、なおさらでしょう。

個人の債権者に迷惑をかけずに自己破産をする方法としては、次の2通りが考えられます。

親族等から一括返済してもらう

1つめの方法は、家族や親戚などに肩代わりをしてもらい、個人の借金を一括返済してもらうことです。

債務者本人が一括返済することは偏頗弁済として禁止されていますが、第三者が返済することには何の問題もありません。

この方法によった場合は、肩代わりしてくれた人を債権者として自己破産を申し立てることになります。

ただし、肩代わりしてくれた人が債権放棄をしてくれた場合は債務が消滅しますので、自己破産の対象とする必要はありません。

自己破産手続き終了後に返済する

2つめの方法は、自己破産手続きの終了後(免責許可決定の確定後)に、個人の債権者にのみ返済することです。

免責許可によって返済義務が免除された債務は、法的には自然債務となります。自然債務とは、債権者から支払いを請求することはでないものの、債務者が任意に支払うのであれば債権者が受け取ってもよいという債務のことです。つまり自発的に返済する分には自由です。

個人の債権者に対しては、あらかじめ「貸金業者からの借金がなくなった後に自然債務として返済していく」と伝えておくとよいでしょう。

このような方法もあるので、個人の債権者に対しては自己破産申し立て前に事情を伝え、理解を求めることが重要といえます。

個人の借金がある場合の自己破産を弁護士に依頼するメリット

個人の借金がある場合の自己破産は、弁護士に依頼して申し立てることを強くおすすめします。弁護士の力を借りることで得られるメリットは、以下のとおりです。

  • 受任通知の送付により、業者からの取り立てを依頼後数日で止めてもらえる
  • 個人の債権者からの取り立ても、弁護士による事情説明や警告で止めてもらえる
  • 自己破産手続きのルールをわかりやすく説明してもらえる
  • 個人の債権者からの理解が得られやすい
  • 偏頗弁済など「やってはいけないこと」についてアドバイスしてもらえる
  • 免責に反対された場合も意見書の提出などで免責許可を目指してもらえる
  • その他にも複雑な手続きは弁護士に一任できる

このように全面的なサポートを受けることで、自己破産手続きをスムーズに進めることが可能となるでしょう。

まとめ

個人からの借金で自己破産をする場合、本記事でご説明した注意点と対処法を知らなければ手続きに失敗し、免責許可が得られないことにもなりかねません。

自己破産に失敗しないためにも、早めに弁護士へのご相談をおすすめします。状況によっては、自己破産以外にも、任意整理などで個人の債権者に迷惑をかけずに解決する方法が見つかることもあります。

個人の借金も、弁護士の力を借りて適切に解決してしまいましょう。

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