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店外でお客さんからもらったお金は返済義務はある?元客から強引な請求を受けた場合の対応方法

この記事でわかること
  • 原則としてお客さんからもらったお金の返済義務はない
  • お客さんからお金を借りた場合は返済義務がある
  • 借金があるときは債務整理でまとめて解決するのがおすすめ
  • お客さんから不当な要求を受けたときは弁護士に相談した方がよい

キャバクラ・風俗などの夜職やスナック・クラブなどの水商売に従事している女性、あるいはパパ活女性が店外でお客さんからお金をもらうことは少なくありません。

お客さんが厚意でお金をくれることもあれば、何らかの見返りを求めてお金を渡されることもあるでしょう。

状況はさまざまですが、後にお客さんから一括で返済を請求されたり、代償として不当な要求を受けることもあるので注意が必要です。

この記事では、お客さんからもらったお金は返済義務はあるのか、返済を請求された場合にはどのように対処すればよいのかについて、わかりやすく解説します。

店外で客からもらったお金のトラブルでよくあるケース

まずは、客商売の女性が店外でお客さんからもらったお金のトラブルで、よくあるケースをご紹介します。

キャバクラ嬢の場合

キャバクラのお客さんがキャバ嬢にお金を渡すケースはさまざまですが、次のようなケースが典型的です。

  • チップを渡す
  • 食事などを奢る
  • アクセサリーや服などをプレゼントする
  • 学費や生活費を支援する
  • 借金の返済を手伝う

お客さんがお金を渡す動機もさまざまで、単なる厚意のこともあれば、交際や性行為などの見返りを期待していることもよくあります。

渡される金額が大きければ大きいほど下心があることが多く、見返りが得られない場合には返済を要求してくる可能性が高まります。

キャバ嬢の場合、返済に応じなければ次のようなトラブルが起こりがちです。

  • 電話やメールが頻繁に送られてくる
  • つきまといなどのストーカー行為をされる
  • ネット上のSNSや掲示板などで悪評を流される

クラブホステスの場合

クラブホステスの場合も、状況は基本的にキャバ嬢の場合と似ています。

ただ、店の料金がキャバクラよりも高く、経済的に余裕があるお客さんが多いこともあり、高額のお金をもらうケースが多い傾向にあります。

独立して店を出すための資金を提供されることもあるでしょう。高額のお金をもらっていると、お客さんが見返りを得られないときの返済請求も厳しいものになりがちです。

ホステスを続けながら返済しようとしても、金額が高額になため風俗など別な仕事をせざるを得ないケースもあります。

スナックママの場合

スナックママの場合は、お客さんから店の運転資金の提供を受けることもあります。子どもの養育費や学費などを支援されることもあるでしょう。

状況によっては、お客さんからもらうお金が高額化しがちです。

お客さんが見返りを得られず、返済もされない場合には、客が店に居座って営業の邪魔をするようなトラブルが起こりやすくなります。

風俗嬢の場合

風俗嬢の場合、お客さんがお金をくれる名目や動機はさまざまです。風俗店は、お客さんと風俗嬢が店外で会うことを禁止しているケースが多いことに注意しなければなりません。

見返りが得られないお客さんは、風俗嬢の弱みを逆手にとり、「要求に応じなければ、店外で会ったことを店にバラすぞ」「風俗で働いていることを親にバラすぞ」などと脅してくることがあります。

風俗嬢は店にバラされてしまうと高額の罰金を科せられたり、クビにされたりする可能性があります。また、親に迷惑をかけたり、バレたら実家に連れ戻されるでしょう。

そのため、お客さんからの要求を拒否しにくく、困惑してしまうことになりかねません。

パパ活女性の場合

パパ活においては、お客さんが女性の気を惹こうとして、約束したお金以外にもお金を渡すケースが少なくありません。特に、肉体関係を伴わないパパ活のケースにおいて、性行為を期待するお客さんがお金を渡すことが多いです。

お客さんが見返りを得られない場合には、「パパ活をしていることを親、学校、職場などのバラすぞ」などを脅してくることがよくあります。

通常、パパ活は家族等には極秘で行うものなので、脅された女性は追い詰められるでしょう。

店外でお客さんからもらったお金は返済義務はある?

そもそも、客商売の女性が店外でお客さんからもらったお金を返済する義務はあるのでしょうか。

結論として、もらった(贈与された)場合は返済義務がありませんが、借りた(借金した)場合には返済義務が生じます。

以下で、法的な返済義務についてわかりやすく解説します。

もらった場合は返済義務はない

お金を渡された名目やお客さんの動機にかかわらず、お金を「もらった」場合には贈与契約が成立しているため、返済義務はありません。

贈与と借金の違いは、後に返済する約束をしていたかどうかという点です。

通常、お客さんが女性の気を惹くためにお金を渡すとき、「後で返してもらう」などとは言わないでしょう。そのため、大半のケースは贈与に該当すると考えられます。

既にお金を受け取った後は、お客さんの気が変わっても勝手に贈与契約を取り消すことはできないので、返済する必要はないのです。

ただし、次の2つのケースでは注意が必要です。

  • お客さんから返済請求をされて「返す」と答えた
  • デートする約束でお金をもらっておきながらデートに応じない

贈与契約は当事者間の合意で解除することが可能です。

そのため、返済請求をしてきたお客さんに対して「返す」と答えた場合には、その時点で贈与契約を解除したことになり、返済義務が生じる可能性もあります。

また、デートをする約束でお金をもらっておきながらデートに応じない場合は、民法上の「詐欺」に該当するおそれがあります。

詐欺に該当する場合、お客さんは贈与契約を取り消すことが可能で、取り消されたら返済義務が生じます。

借りた場合は返済義務がある

お客さんからお金を受け取るときに返済の約束をしていた場合は、法律上の消費貸借契約が成立します。

お金を借りた場合、つまり消費貸借契約が成立した場合には、お客さんにお金を返済しなければなりません。

借用書などを書いていなくても、メールやLINE、SNSのメッセージなどで「貸した」「借りた」という証拠が残っている場合は、消費貸借契約に該当することに注意が必要です。

元客からお金の返済を請求されたときの対応方法

元客からお金の返済を請求されたときは、状況に応じて以下のように対応しましょう。

貸したと主張された場合

元客から「貸した」と主張された場合、まずは贈与と消費貸借のどちらに該当するのかを確認してください。贈与に当たる場合は、「もらったものだから返さない」と返答することになります。

消費貸借に当たる場合は返済義務があるため、返済額や返済期日などの交渉をすることになるでしょう。

とはいえ、実際には、お金をもらったのか借りたのかが曖昧なケースも多いものです。

返済の約束があったことの証明は、お客さんの側で行う必要があります。たとえ借りたものであったとしても、証拠がなければ返済を拒むことも可能です。

曖昧なケースでは、返済請求を受けても安易に「返す」と返答せず、弁護士に相談することをおすすめします。

交際や性行為を強要された場合

男女交際や性行為は当人の自由意思で行うものなので、元客から要求されても応じる必要はありません。この点は、元客からお金をもらった場合でも借りた場合でも同じです。

しつこく強要される場合には、元客を刑法上の強要罪で訴えることもできます。

ただし、交際や性行為をする約束でお金を受け取っておきながら要求に応じない場合には、あなたにも刑法上の詐欺罪が成立する可能性があります。

穏便に解決するためには、一定の金銭を支払って示談することも考えられます。

脅迫された場合

たとえ返済義務がある場合でも、脅迫を用いて取り立てることは許されません。元客の言動によっては、脅迫罪や恐喝罪、強盗罪などが成立する可能性もあります。

身の危険を感じるときは、警察に相談しましょう。

金銭問題については、刑事告訴をしない、または取り下げる代わりに返済義務を免除してもらって示談することも考えられます。このような交渉は弁護士に依頼するのがよいでしょう。

ストーカー行為を受けた場合

返済義務がある場合もない場合も、元客の次のような行為はストーカー規制法にいうストーカー行為に当たります。

  • つきまといや待ち伏せをする
  • 面会を要求する
  • 交際や性行為を要求する
  • 著しく粗野な言動や乱暴な言動をする
  • 電話やメールを頻繁に送信する
  • 個人情報をネットなどでばら撒く

ストーカー行為を受けた場合には、裁判所に接近禁止命令や電話等禁止命令などの保護命令を申し立てることができます。

申し立てが認められると、相手方に対して6ヶ月間、ストーカー行為の禁止が命じられます。

違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑罰が用意されているので、保護命令には事実上の強制力が期待できます。

元客からの返済請求で困ったときの相談先

元客から返済請求を受けて困ったときは、一人で抱え込まず、専門的な機関に相談しましょう。

相談先としては、警察と弁護士があります。

警察

次のようなケースでは、警察への相談が有効です。

  • 元客から暴力や脅迫を受けた
  • 性行為を強要された
  • 個人情報をばら撒かれるなどして名誉を毀損された

何らかの犯罪が成立している場合には、被害届または告訴状を提出することで、警察による対応が期待できます。

ただし、警察は「民事不介入」なので、返済義務があるかどうかという民事の金銭問題は解決できません。

弁護士

元客への法的対応については、弁護士に相談しましょう。弁護士に事情を伝えれば、返済義務の有無がわかります。そして、返済義務の有無に応じて最善の解決方法をアドバイスしてもらえます。

必要に応じて、元客への対応や法的措置を依頼することも可能です。また、支払いの必要性があるケースならば、減額や分割払いなどの交渉をおこなってくれます。

弁護士は警察とは異なり、依頼者の味方としてすぐに動いてくれるので、早めに相談することをおすすめします。

お客さんに返せない時は債務整理で解決する

元客にお金を返せないケースや貸金業者からも借金を抱えて困窮している場合には、債務整理を検討しましょう。

債務整理とは、法律に則って借金を減免できる手続きのことで、主に次の3種類があります。

  • 任意整理…債権者と直接交渉して借金を減額し、返済方法も変更する手続き
  • 個人再生…裁判所の手続きで借金を大幅に減額し、3~5年で分割返済する手続き
  • 自己破産…裁判所の手続きで借金を全額免除してもらう手続き

元客からの借金も債務整理の対象となるので、他の借金と併せて全面的に解決できます。

任意整理では元客との交渉が必要ですが、個人再生と自己破産では裁判所の決定により借金が強制的に減免されるので、元客との交渉は不要です。

状況に合った債務整理を選択すれば、必ず解決可能です。

お客さんからもらったお金のトラブルを弁護士に相談するメリット

お客さんからもらったお金のトラブルで、どのように対応すればよいのかがわからないときや、お一人で対応しきれないときには、弁護士に相談することを強くおすすめします。

弁護士に相談・依頼することで、以下のメリットが得られます。

  • 受任通知の送付により返済の要求が止まる
  • 元客からの直接請求が止まらないときは弁護士が警告してくれる
  • 弁護士が代理人として元客と交渉してくれる
  • 刑事告訴や保護命令の申立てを代行してくれる
  • 債務整理の手続きを一任できる

お客さんは感情的になって返済を請求してくることが多いですが、弁護士を間に入れることで、強権的な取り立てができなくなります。弁護士が交渉に入ることで適正な解決が可能となるのです。

まとめ

客商売の女性が店外でお客さんからもらったお金は、返済義務がないことが多いですが、状況によっては返済義務が生じることもあります。

まずは弁護士に返済義務の有無を確認して、状況に応じた適切な解決方法を検討することが重要です。

お一人で抱え込んでいるとお客さんとのトラブルが深刻化するおそれが強いので、弁護士の力を借りて安全かつ迅速に解決していきましょう。

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