- SNSの金銭トラブルで失ったお金を取り戻すのは困難である
- 銀行振込の場合やクーリングオフが使える場合などは回収の可能性がある
- 被害を拡大させないためにも早期に法的な対処を検討することが重要である
- SNS金銭トラブルの相談先は警察、消費者センター、弁護士
近年ではSNSを利用する人が増加していますが、それに比例するかのように金銭トラブルが発生するケースが急増しています。
「お金を借りたけど利息が高すぎ」「言われたとおりに投資したのに大損だった」と言ったようなものです。
この記事では、SNSでよくある金銭トラブルの例と被害に遭ってしまったときの解決方法について、わかりやすく解説します。
SNS金銭トラブルの例
個人間融資
SNSを介した個人間融資は、実際には闇金のケースがほとんどです。
「お金貸します」「即日融資」「審査なし」などの甘い言葉で融資を持ちかけておきながら、返済が滞ると乱暴な言葉で脅したり、家族や職場に連絡したりするなどの悪質な取り立てが行われます。
審査時に提出する運転免許証や社員証などの個人情報を悪用され、別の詐欺や犯罪に巻き込まれるケースも多いです。
投資や副業への勧誘詐欺
「誰でも儲かる○○投資の必勝法を伝授」「1日10分の簡単作業で月30万円稼げます」などの誘い文句で、投資や副業を勧める投稿を見たことがある方も多いでしょう。
これらの投稿者へメッセージを送ると、LINEなどに誘導され、「確実に儲かる」「やらないと損する」といった説明文が次々に送られてきます。読み進めていくうちに、本当に儲かりそうな気になってしまい、勧誘に応じてしまいます。
しかし実態は、悪質な仕組みになっていることがほとんどです。
- 投資サイトは架空のもので利益が出たように見えても出金できない
- 投資金を預けたところ、しばらくすると連絡がとれなくなる
- すぐに回収できるからと高額なツールを売りつけられる
- 高額な情報商材の中身がネット検索すれば出てくるもの
いずれのケースでも、詐欺だと気付いた時点で相手と連絡が取れなくなっていることがほとんどです。
ロマンス詐欺や婚活詐欺
どちらも恋愛感情を利用してお金を騙し取る出口です。
恋愛感情や親近感を抱かせながら投資に誘導、または「家族が病気でお金が必要」と情に訴えて大金を要求してきます。
近年では、マッチングアプリ(出会い系サイト)だけでなく、X(Twitter)などのSNSでも多発しています。
SNSでは、さまざまな人と簡単に交流できることから、このように恋愛感情や親近感を悪用した詐欺も発生しやすくなっているのでしょう。
商品やチケットの販売を装った詐欺
商品詐欺・チケット詐欺とは、商品やチケットの販売を持ちかけ、代金を受け取っておきながら商品を送らなかったり、偽物を送ったりする手口です。
これらの詐欺は、以前からフリマサイトやオークションサイトなどで多発していましたが、近年ではSNSでの交流を通じて行われるケースも増加しています。
闇バイトへの勧誘
SNSへの投稿でアルバイトを募集し犯罪行為を手伝わせる闇バイトへの勧誘も、近年増加しているもののひとつです。
「誰でもできる簡単な仕事です」
「日給10万円」
「即日現金払い」
「リスクなし。ホワイトな仕事です」
このような誘い文句を信じ込んで応募してしまう人が後を絶ちませんが、応募すると個人情報を提出させられた後、特殊詐欺や闇金の取り立て、空き巣、強盗などの実行を命じられます。
断りたいと思っても個人情報をもとに脅してきたりするため、従わざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
応募者がリスクを冒して違法な仕事を実行しても、結局は1円も報酬が支払われないケースが多いです。そのため、闇バイトへの勧誘も金銭トラブルの一種として挙げられます。
SNS金銭トラブルの対処法
個人間融資の対処法
まず、返済を止めることです。法外な金利を伴う貸付は犯罪行為であり、民事的にも契約無効です。融資として受け取ったお金は不法原因給付に当たりますので、法律上は返済する義務がないのです。
しかし、返済を止めると取り立ての激しさが増す可能性があります。この場合は早めに警察や弁護士に相談しましょう。
警察は暴力などの事件性がないと動いてくれないことも多いですが、弁護士は被害者の味方として迅速に対処してくれます。
詐欺の対処法
投資・副業詐欺、ロマンス詐欺・婚活詐欺、商品・チケット詐欺は、手口は異なりますが対処法は共通しています。
まずは被害拡大を防ぐために送金を止めてください。次に、やり取りの履歴や送金記録を削除せず保存しておきましょう。後の被害届や返金請求で重要な証拠になります。
証拠を集めたら警察に相談してください。詐欺は犯罪ですので捜査の対象になります。
判断に迷う段階であれば、消費生活センターに相談するのも良いでしょう。
お金を取り戻せるかどうかは、決済方法によって変わります。
- 銀行振込の場合:振り込め詐欺救済法による口座凍結・被害回復分配金の申請
- クレジットカード払いの場合:支払停止の抗弁によって以降の引き落としを止められる可能性
- 電子マネー・暗号資産の場合:追跡が困難なため回収も難しい
副業詐欺や商品詐欺の場合は以下に該当するかどうかも確認してください。
- フリマサイト等を利用した場合:運営に問い合わせをして補償制度の確認
- 情報商材・ツールを購入した場合:業務提供誘引販売取引に該当すればクーリングオフの対象
業務提供誘引販売取引とは「このツールを使えば収入が得られます」などと勧誘して商材やツールを買わせることです。多くの副業詐欺は業務提供誘引販売取引に該当します。
ただし、クーリングオフを適用するには契約から20日以内である必要があります。
闇バイトの対処法
闇バイトに応募してしまったときは、早急に警察に相談すべきです。その勇気がなければ家族や友人でも構いませんので、周囲の第三者に相談しましょう。
まだ仕事をしていなければ、警察に相談しても何ら罪に問われることはありません。仕事を実行した場合でも、自ら進んで警察に申し出た場合には、刑罰が軽減される可能性が高いです。
闇バイトで指示される組織的な犯行は非常に悪質なものとみなされますので、相談せずに放置していると、初犯でも実刑などの重い刑罰を科せられるおそれがあります。
黒幕からの報復を恐れて警察に相談できないという方も多いですが、警察も闇バイト対策の一環として、相談者を積極的に保護する体制を整えています。勇気をもって相談することが何よりも大切です。
SNSの金銭トラブルで失ったお金は取り戻せる?
失ってしまったお金を取り戻すことは、かなり難しいのが実情です。理論上は、騙し取られたお金や脅し取られたお金は相手の不当利得となるため、被害者は返金を請求できます。
しかし、相手の身元が判明しなければ、法的措置によって被害金を強制的に回収することはできません。
ただし、送金・決済の方法によっては、以下のような回収手段が用意されています。
銀行振込の場合は振り込め詐欺救済法
銀行振込で送金してしまった場合は、振り込め詐欺救済法に基づき、振込先口座の凍結と被害回復分配金の申請ができる可能性があります。
振込先の口座が悪用されていることが金融機関に認められれば口座が凍結され、その口座に残っている残高から、被害額に応じた分配金の支払いを受けられる制度です。
口座残高がない場合は取り戻せないため、早めに申請することが重要です。
副業・投資詐欺はクーリングオフ
投資や副業の勧誘が特定商取引法上の「業務提供誘引販売取引」に該当すれば、契約書面を受け取ってから20日間はクーリングオフによって無条件で契約を解除できます。
20日を過ぎてしまった場合でも、勧誘時の説明に虚偽や誇大な内容があれば、契約の取消しを主張できる場合があります。
SNSの金銭トラブルで弁護士に相談・依頼するメリット
SNSで金銭トラブルに巻き込まれてしまったときには、弁護士に相談してみることをおすすめします。弁護士のサポートを受けることで得られるメリットは、以下のとおりです。
- 悪質な個人間融資を利用してしまったときは、貸主との交渉を任せられる
- 闇金や個人の貸主からの違法な取り立てを止めてもらえる
- 警察の力が必要な場合には、具体的な手続きについてのアドバイスが受けられる
- 被害の拡大を防ぎ、最小限に抑えることができる
- 平和な生活を取り戻し、安心してSNSを利用できるようになる
なお、個人間融資を利用する人の中には、返済不能となった多額の借金や、家族に内緒の借金を抱えている人が多いです。そのような場合でも、弁護士に依頼することでまとめて解決してくれます。
まとめ
SNSを利用していれば、誰でも金銭トラブルに巻き込まれる可能性があります。本記事でご紹介したように、個人間融資や投資詐欺、ロマンス詐欺などをはじめとする金銭トラブルが多発しています。「自分は大丈夫」と考えず、常に警戒することが重要です。
万が一、被害に遭ってしまった場合は、すぐ弁護士にご相談ください。投資詐欺などで失ってしまったお金は取り戻せないこともありますが、個人間融資や闇金などのトラブルは、弁護士を間に入れることで解決することが可能です。
どのような事案でも、弁護士は最善の解決方法を提案してくれますので、困ったときは一人で抱え込まずに相談してみましょう。
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以上の実績
長崎県弁護士会所属の弁護士。弁護士として約15年間にわたって借金問題、民事事件、刑事事件などを取り扱う。現在は弁護士業務の傍らライターとして法律関連記事の執筆活動をおこなう。
荒木・川端法律事務所:事務所情報 (長崎県弁護士会HP)
