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個人間の借金を返せないときの対処法とは?やってはいけないことと正しい解決方法

この記事でわかること
  • 個人間の借金を放置するとトラブルに発展しやすいので放置してはいけない
  • 個人間の借金も債務整理の対象となる
  • 個人間の借金で債務整理をするときは貸金業者の場合とは異なる注意点がある
  • 債務整理後も個人からの取り立てが止まらないときは法的措置をとることもできる

個人間でお金を借りて返せなくなったことで、厳しい取立てや嫌がらせを受けるというケースはよくあります。これまでは知人という関係だったけれど、お金を返せない相手は敵になるからです。

個人間の借金は当事者だけで解決しようとすると、違法行為がまかり通ったり、大きなトラブルに発展する可能性が高くなります。

個人間で借金を返せない場合には、「債務整理をする」「弁護士に相談する」ということが根本的に借金問題を解決するための対処法です。

個人間の借金と貸金業者からの借金の違い

同じ「借金」でも、友人・知人や親族からの借金と、銀行や消費者金融など貸金業者からの借金では、以下の違いがあります。

利息の違い

貸金業者は必ず利息を取り決めて融資します。しかし、個人間の借金では利息の取り決めをしないことがよくあります。

取り決めがない場合、貸主は利息を請求できません。また、利息を取り決める場合は、利息制限法で定められている上限利率の範囲内でなければなりません。

この点は、個人間の借金でも貸金業者からの借金でも同じです。

【利息制限法による上限利率】
借入額 上限利率
10万円未満 年20%
10万円以上~100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

個人間の借金では、法律を知らないために高金利を要求されることもありますが、上限利率を超える部分は支払う必要がありません。

遅延損害金の違い

返済期限までに借金を支払わなかった場合は、遅延損害金が発生します。

貸金業者は、貸付けの際に必ず遅延損害金を取り決めます。利率は業者によって異なりますが、一般的には以下のような水準で指定されます。

借入先 遅延損害金の利率の相場
消費者金融 年20%程度
クレジットカード
(キャッシング枠)
年20%程度
銀行カードローン 年14.6%程度
クレジットカード
(ショッピング枠)
年14.6%程度
住宅ローン 年14.6%程度
その他のローン 年14.6%程度

個人間の借金でも滞納すると遅延損害金が発生しますが、法律で以下のとおり上限利率が定められています。

取り決めの有無 上限利率
取り決めなし 2020年3月31日以前
に滞納した場合
年5%
2023年4月1日以降に
滞納した場合
年3%
取り決めあり 年29.2%

なお、取り決めがない場合に適用される民法上の法定利率は、3年ごとに見直されます。現在は年3%ですが、2026年4月以降に変動する可能性があります。

取り立て方法の違い

貸金業者は、滞納を続ける債務者に対しては厳しい取り立てを行います。ただし、貸金業法で以下のような取り立てのルールが法律で定められているため、違法になるような強行的な取り立てが行われるわけではありません。

  • 夜9時以降~朝8時以前に取り立てをしてはならない
  • 正当な理由なく債務者の職場に連絡してはならない
  • 債務者の自宅などに貼り紙や立て看板を設置してはならない
  • 第三者に返済を請求してはならない
  • 弁護士や司法書士からの受任通知を受け取った後に直接の返済請求をしてはならない

個人間の借金では、このようなルールは適用されません。ほとんど取り立てをしない貸主がいる一方で、貸金業者よりも悪質で厳しい取り立てをする貸主もいます。

ブラックリストに登録されるかどうかの違い

貸金業者からの借金を滞納すると、2~3ヶ月後にはブラックリストに載ります。信用情報機関に事故情報が登録され、その影響で数年間は新規の借入やクレジットカードの利用などができなくなってしまいます。

一方、個人の債権者は信用情報機関に加盟していないため、滞納が続いてもブラックリストに載せられることはありません。

個人間の借金を返せないとどうなる?

個人間の借金でも、返せなくなると以下のようなトラブルが発生するおそれがあります。

貸主と感情的なトラブルに発展する

まず、貸主と感情的なトラブルに発展する可能性が非常に高いです。

この点、貸金業者はビジネスとしてお金を貸しているに過ぎず、回収不能のケースがあることも織り込み済みです。そのため、法律に則った取り立ては行いますが、感情的なトラブルが発生することはありません。

それに対し、個人間の借金では、貸主がなけなしのお金を貸していることも多く、返してもらえないとなると感情的になりがちです。

「お金の切れ目は縁の切れ目」という言葉があるように、人間関係への悪影響は避けがたくなります。

嫌がらせや犯罪被害を受けるおそれがある

なけなしのお金を貸した個人は、血まなこになって返済を求めてくるものです。返してもらえなければ、借主を精神的に追い詰めて返済させようとすることもあります。

それでも返さないなら、腹いせの目的で、以下のような嫌がらせをしてくることもあります。

  • 昼夜を問わず頻繁に電話やメールで請求する
  • 大声で威嚇する
  • 自宅に押しかけてきて居座る
  • 職場にまで乗り込んで仕事の邪魔をする
  • 借金を踏み倒したことを周囲の人に言いふらす
  • 事実無根の悪口まで言いふらす

個人間の借金でトラブルがエスカレートして、傷害事件や殺人事件にまで発展した実例も数多くあります。

社会的信用を失うことがある

借金を払っていない事実を周囲の人に言いふらされると、たちまち悪評が広まってしまう可能性が高いでしょう。

昨今では、SNSやインターネット上の掲示板などで、実名や連絡先などの個人情報を晒された上で、「ドロボー」「嘘つき」などと誹謗中傷されることもよくあります。

このような書き込みが拡散されてしまうと、広い範囲で社会的信用を失うことにもなりかねません。

裁判を起こされる

個人の債権者も、貸金業者と同様に裁判を起こすことがあります。借用書などの証拠があれば、敗訴判決は避けられません。

決定的な証拠がない場合でも、裁判を無視すると債権者勝訴の判決が言い渡されることに注意が必要です。

差し押さえを受ける

債権者勝訴の判決が確定すると、強制執行手続きにより債務者の財産を差し押さえることが可能となります。この点、貸金業者は強制執行をするとしても、給料や預貯金しか差し押さえできません。

しかし、個人の債権者は、1円でも多く回収するため、あるいは腹いせ目的で、車やバイク、現金、家財道具、電化製品、宝石、貴金属、ペットなど、ありとあらゆる金目のものを差し押さえすることがあります。

個人間の借金を返せなくてもやってはいけないこと

以上のように、個人間の借金を返せなければ、貸金業者からの借金を返せない場合よりも窮地に追い込まれることが少なくありません。

そのため、何とかして借金を返そうと考えるものですが、以下の行為は解決につながらないため、行わないようにしましょう。

借金を放置する

個人間の借金を放置すること、いわゆる「踏み倒す」行為は、貸主の感情を逆なでするものです。深刻なトラブルに発展する可能性が極めて高くなるので、控えましょう。

なけなしのお金を好意で貸してくれた相手に対しては、誠意をもって対応する必要があります。

返済のために金利の高い業者から借りる

個人の債権者に返済するためであっても、消費者金融など金利の高い業者から借金をすることはおすすめできません。

それで個人からの借金を完済できたとしても、金利の負担によって借金問題そのものは悪化してしまうことがほとんどです。返済のために借入をしても、借金地獄から抜け出すことはできません。

闇金に手を出す

個人から借金をしている人の中には、銀行や消費者金融からは借りられなくなっている人も多いことでしょう。そんなときでも、闇金には絶対に手を出してはいけません。

闇金に手を出すと、トサン(10日で3割)やトゴ(10日で5割)といった法外な利息を要求され、払えなければ強行的な取り立てや悪質な嫌がらせを受けてしまいます。

闇金からの借金は債務整理の対象外であるため、借金問題の解決がさらに難しくなってしまうことにも注意が必要です。

個人間の借金を返せないときの対処法

個人間の借金を返せないときの対処法は、貸金業者への対処法とは少し異なります。

ですが、ここではまず、法律に則った正当な解決方法をご紹介します。

時効の援用を検討する

返済できないまま長期間が経過している場合は、消滅時効の援用を検討してみましょう。

個人間の借金の消滅時効期間は、以下のとおりです。

借入の時期 時効期間
2020年3月31日以前 最後の取引から10年
2020年4月1日以降 最後の取引から5年

ただし、少しでも返済したり、「返済を待ってほしい」などと言って猶予を求めたりした場合は、債務を承認したことになり、時効期間がリセットされます。

そのため、承認した時点から改めて上記の時効期間がスタートすることにご注意ください。

時効の援用する場合は、証拠を残すために「消滅時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便で相手に送付します。時効援用をすることで個人の債権者が納得するケースもありますので、検討してみると良いでしょう。

分割払いや返済猶予、減額を交渉する

消滅時効が完成していない場合は、返済方法について誠意をもって交渉しましょう。相手はビジネスとしてお金を貸しているわけではありませんので、誠意が伝われば柔軟な形での解決が期待できます。

返済が難しい事情を伝えて、分割払いや返済期限の延期、減額などをお願いし、丁寧に交渉することです。

債務整理をする

交渉が上手くいない場合は、債務整理を検討しましょう。個人間の借金も、債務整理の対象となります。

債務整理には、主に以下の3種類の手続きがあります。

  • 任意整理…債権者と直接交渉して借金を減額してもらう手続き
  • 個人再生…裁判所の手続きで借金が大幅に減額される手続き
  • 自己破産…裁判所の手続きで借金が全額免除される手続き

個人再生と自己破産では、相手との交渉は不要です。一定の要件を満たせば、裁判所の決定により強制的に借金が減免されます。そのため、個人の債権者の意向にかかわらず、法律上は借金問題の解決が可能です。

個人間の借金で債務整理をする場合の注意点

貸金業者からの借金では、債務整理の手続きを正しく行えば完全に解決します。それに対して、個人間の借金で債務整理をする場合は、以下の点に注意する必要があります。

特定の債権者にのみ返済すると債務整理できないことがある

個人から借金をしている場合、身内の方など近しい関係性の相手や、特にお世話になった方、返済の要求が強い方などに対しては、優先的に返済をしてしまいがちです。

このように、特定の債権者にのみ返済することを「偏頗弁済」といいます。個人再生や自己破産の申し立て直前に偏頗弁済をしていると、以下のデメリットが生じることがあります。

  • 個人再生の場合…再生計画による返済額が増える
  • 自己破産の場合…免責不許可となり、借金が残る

任意整理をする場合は偏頗弁済をしていても問題ありませんが、個人再生や自己破産に切り替える場合には、上記の問題が生じる可能性があることに注意しなければなりません。

債務整理手続きで反対意見を出されることがある

債務整理手続きの中では、以下の形で個人の債権者の意見が反映されます。

  • 任意整理の場合…和解に応じてもらえない
  • 個人再生の場合…再生計画案に反対の意見を出される(小規模個人再生の場合)
  • 自己破産の場合…免責に異議を出される

小規模個人再生では、再生計画案について債権者による書面決議が行われますが、反対意見が出されても少数にとどまれば、可決されます。

自己破産で免責に異議を出されても、裁判所が「免責不許可事由なし」と判断すれば、免責が許可されます。

このように、最終的には強制的に解決できる場合が多いですが、手続きがスムーズに進むとは限らないことに注意しておきましょう。

法外な金利を要求されている場合は債務整理の対象外

個人の債権者が法律を知らず、あるいは法律を無視して法外な金利の約定をしてお金を貸した場合、その契約は無効となる場合があります。

判例では、出資法の上限金利である年109.5%を著しく上回る金利を伴う貸金の契約は、公序良俗に反し無効であるとされています。

契約が無効の場合は法律上の返済義務がありませんので、債務整理の対象外となります。その場合、別の手段で解決を図る必要があります。

債務整理後も取り立てが止まらないことがある

債務整理で法的には解決した後でも、個人の債権者は納得せず返済を迫ってくることが少なくありません。

毅然とした態度で要求を拒否することも一つの対処法ではありますが、トラブルを回避するためには、次にご紹介する対処法を試すことがおすすめです。

債務整理後に個人からの取り立てが止まらないときの対処法

債務整理をしたにもかかわらず、個人の債権者による取り立てが続く場合は、以下の対処法を検討しましょう。

自然債務として返済を約束する

自然債務とは、債権者には請求権がないものの、債務者が任意に支払うのであれば債権者が受け取ることができる、という債務のことです。

個人再生や自己破産で免責された債務は、自然債務となります。手続き後に債務者が任意に支払うことまで禁止されるわけではありません。

そこで、個人の債権者に対しては、個人再生や自己破産の申し立て前から「他の借金が片付いたら、少しずつでも支払います」と約束することが考えられます。理解が得られたら、強行的な取り立てをしてくることはなくなるはずです。

接近禁止の仮処分等を申し立てる

強行的な取り立てが止まらない場合には、法的措置で対抗できる可能性もあります。

具体的には、不当要求を受けた場合や、そのおそれがある場合には、民事保全法に基づき以下の仮処分を裁判所に申し立てることができます。

  • 訪問・接近禁止の仮処分
  • 架電・メール送信禁止の仮処分
  • 面談禁止の仮処分
  • ビラ貼付禁止の仮処分
  • 街宣活動禁止の仮処分

相手が仮処分の命令に違反する場合には、制裁金の支払いを求めるという形で間接的に強制することも可能です。

また、取立行為が度を超えて、脅迫罪や恐喝罪など何らかの犯罪に及んでいる場合には、警察に相談すれば取り締まってもらえる可能性もあります。

個人間の借金問題の解決を弁護士・司法書士に依頼するメリット

個人間の借金を返せない場合や、相手ともめた場合には、法律の専門家である弁護士または司法書士に対応を依頼することが最善の解決策となります。

弁護士・司法書士の力を借りることで、以下のメリットが得られます。

  • 最善の解決方法がわかる
  • 相手との交渉を代行してもらえる
  • 個人再生や自己破産の手続きを一任できる
  • 取り立てが止まらない場合には相手に警告してもらえる
  • 接近禁止の仮処分等の法的措置も代行してもらえる

借金問題に強い弁護士・司法書士に依頼すれば、豊富な経験に基づく交渉力で相手に対応するので、円満な解決も期待できます。早めの相談がおすすめです。

まとめ

見知った相手からの借り入れや個人間の借金なら、大きな問題は起きないだろうと甘く考えてしまいトラブルに見舞われるケースはよくあります。

もしも個人間の借金で窮地に立たされたら、まずは弁護士に相談することが問題解決の近道です。借金に強い弁護士なら、適切なアドバイスと対処法を提案してくれます。思い切って相談してみることをおすすめします。

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