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勝手に連帯保証人にされてしまった!支払を求められたときの対処法

連帯保証人になった覚えはないのに、勝手に連帯保証人にされて他人の借金の返済を迫られた場合、思いもよらぬトラブルに巻き込まれる可能性があり、リスクを伴います。

連帯保証人になると、多額の債務を肩代わりする法的な義務が生じるため、事前の合意なしに連帯保証人の立場にされてしまった場合、迅速な対応が必要です。

今回は、勝手に連帯保証人にされた場合に借金の返済義務があるのか、連帯保証契約を無効にするための対処法等について、法律の観点や具体的な手順を徹底解説します。

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東京弁護士会所属
田島 聡泰 (たじま あきひろ)
シン・イストワール法律事務所
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勝手に連帯保証人にされていた場合にまず確認すべきこと

勝手に連帯保証人にされていた場合、まずは3つのことを確認しましょう。これらのことを確認しないと、具体的な対処法に移ることができません。

以下の3点を確認することで、事態を冷静に把握し、次の対応を適切に進める準備が整います。不正や詐欺の疑いがある場合は、速やかに法的措置を検討することが重要です。

債権者と債務者の情報を確認する

連帯保証人にされていた場合に、請求を受けたら、「誰から」請求を受けたのか、つまり債権者は誰なのか、及び「誰に代わって請求をされているのか」、つまり債務者は誰なのかを確認することが重要です。

債権者と債務者の情報を確認することで、自分が連帯保証人にされたとされる契約がどのような関係に基づいてされたのかを把握できます。

例えば、債権者が金融機関や貸金業者である場合、しっかりとした契約書が存在する可能性が高い一方、個人からの請求の場合には詐欺や不正の可能性があります。

債権者と債務者の情報は、支払請求書や通知書に記載されていることが通常であるため、内容を慎重に確認するようにしましょう。

請求の内容を確認する

次に、債権者からの請求内容を詳細に確認しましょう。請求額やその根拠、期限などが具体的に示されているかをチェックしてください。

例えば、元本、利息、遅延損害金といった項目が明示されているかや、不自然な金額設定がされていないかなどに注意を払う必要があります。

また、連帯保証人になっているという主張がされている場合には、その証拠や契約内容を開示するよう求めましょう。連帯保証の合意がない契約に基づく請求である場合、支払義務は発生しません。

連帯保証契約書を確認する

連帯保証人としての義務が発生するためには、債権者と連帯保証人が契約書を交わし、連帯の合意をした保証契約が成立している必要があります。

特に、民法446条により、保証契約は書面又は電子記録で作成されなければ無効となるため、契約書が存在しない場合や、自分の署名や捺印が偽造されていた場合、契約が無効になる可能性が高いです。

そのため、契約書の原本やそのコピーを提示するよう債権者に要求しましょう。不明な点があれば弁護士などの専門家に相談し、不正がないかをチェックしてもらったほうがよいでしょう。

勝手に連帯保証人にされていた場合、支払義務はある?

勝手に連帯保証人にされていた場合、債務者の借金を肩代わりしなければならないのでしょうか。結論から申し上げると、原則として支払い義務はありません。

しかし、例外として支払い義務があるケースがあり、注意が必要です。以下では、これらの点について詳しく解説します。

原則として支払義務はない

勝手に連帯保証人にされていた場合、原則として支払い義務はありません。

先ほども説明したとおり、連帯保証人として義務を負うためには、債権者と保証人がお互いに合意の上で、書面又は電子記録によって保証契約書が作成されていなければならず、お互いの合意に基づいた契約書が作成されていなければ無効だからです。

債権者から請求があった場合、契約書の原本やコピーを要求し、もし存在しなければ無効であることを主張しましょう。仮に契約書が存在している場合であっても身に覚えがない場合は偽造である可能性が高いため、その旨を主張するようにしましょう。

例外として支払義務があるケース

全く身に覚えのない請求であれば、支払わない旨を伝えて毅然と対応すればよいです。

しかし、他人に保証契約の代理権を与えたかのように振る舞い、債権者がそれを信じてしまった場合等の場合、例外的に連帯保証人としての義務を負う場合があります。これを「表見代理」といいます。

表見代理が成立すると、他人に代理権を与えたことになってしまい、連帯保証人としての義務を負ってしまいます。表見代理が成立するのは主に以下の3つのケースです。

代理権を授与した旨の表示

例えば、債務者に白紙委任状を渡した結果、債務者が代理人として連帯保証契約を締結してしまったような場合、表見代理が成立する可能性があります。この場合、委任状を信じた債権者を保護する必要があるためです。

権限外の代理

第三者に対し、基本代理権を与えていたところ、その基本代理権を超えた行為として、連帯保証契約を締結されてしまったような場合です。この場合、債権者が、代理権があると信じるにつき正当な理由があれば、表見代理が成立します。

代理権消滅後

以前、連帯保証契約の代理権を与えていたが代理権が消滅した場合において、代理権が消滅したことを知らずに債権者が代理権に基づいて連帯保証契約を締結した場合、表見代理が成立する可能性があります。

勝手に連帯保証人にされたときにやってはいけないこと

請求された債務の一部又は全部を支払う

債務を一部でも支払う行為は、債務の存在を認めたことと受け取られ、無効な連帯保証契約に基づく請求であった場合でも、後で争うことが難しくなります。

支払いを求められた場合、まず契約書や請求内容の詳細を確認し、支払いの必要性があるかどうかを弁護士などの専門家と相談するようにしましょう。

返済の猶予を求める

返済の猶予を求める行為も、債務の存在を認めたと解釈されるリスクがあります。

特に、債権者との交渉の中で、「支払いが難しいので期限を延ばしてほしい」といった発言をすると、保証契約が有効である前提で話が進んでしまうことになります。

連帯保証人となったことについて身に覚えがない場合、まず契約の有効性を確認することを優先しましょう。

放置する

請求を無視したり放置したりすることは、事態をさらに悪化させる可能性があります。連帯保証人と連絡が取れない場合、債権者は最終的に裁判を起こしてくるかもしれません。

訴訟も放置してしまうと相手の言い分を認めたことになり、勝訴判決が出されてしまうリスクがあります。

請求が不当であると思われる場合、必ず内容を確認し、毅然とした態度で臨むことが大切です。特に、身に覚えがない契約書が存在する場合には債権者に事実関係を確認するなど、迅速な行動を起こす必要があります。

勝手に連帯保証人にされ借金返済を迫られたときの対処法

勝手に連帯保証人にされてしまい、請求を受けた場合には主に以下の4つの対処法があります。複数の方法を並行して進めることも可能です。

連帯保証人にされてしまった場合でもあせって一部を支払ったり返済の猶予を求めたりせず、以下の対処法を実践しましょう。以下ではそれぞれの対処法について詳しく解説します。

支払義務がないことを伝える

連帯保証契約が無効又は身に覚えのないものである場合、まずは債権者に対して支払義務がないことを伝える必要があります。

この際、債権者に対し契約書の提示を求め、自分の署名捺印が偽造されたものである又は勝手に捺印されたものである可能性を指摘しましょう。

民法446条により、保証契約は書面又は電子記録で作成されなければならないため、書面等がない場合、契約自体が無効となります。

支払義務がないことを伝える場合、交渉の記録を残すため、文書やメールでのやり取りが望ましいです。不正な制球に対しては毅然とした態度で対応し、相手が納得しない場合でも安易に支払いに応じないことが重要です。

被害届を出す

連帯保証契約の署名や捺印が偽造されている場合、詐欺罪や私文書偽造罪などの犯罪が成立する可能性があります。この場合、最寄りの警察署に被害届を提出しましょう。被害届を出す場合、次のような資料を用意するとスムーズな受理につながります。

  • 問題となっている連帯保証契約書のコピー
  • 自分が契約に関与していないことを示す証拠や説明
  • 債権者や債務者とのやり取りの記録

警察への被害届は、契約が不正であることを主張するための重要な書類であるだけでなく、債権者への交渉材料にもなります。被害届が受理されれば、相手方への法的な圧力が強まり、解決に向けた進展が期待できるでしょう。

債務不存在確認訴訟を提起する

上記のような対処をしても債権者が支払を請求し続け、交渉が決裂した場合、債務不存在確認訴訟を提起する方法があります。

この債務不存在確認訴訟は、連帯保証契約が無効であり、自分に支払義務がないことを裁判所に確認してもらうための訴訟です。裁判において、契約が不正であることを示す証拠の収集が重要となります。例えば、以下のような主張が考えられます。

  • 契約書の署名・捺印が自分のものではない
  • 自分の意思に基づかない契約が強制された
  • そもそも契約書が存在しない

裁判は交渉と異なり時間と費用がかかりますが、判決を得ることで債権者の請求を完全に封じることが可能です。債権者が交渉に応じず埒が明かない場合は債務不存在確認訴訟を検討すべきでしょう。

弁護士に相談する

上記のような対処法を進める際には、並行して弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談する具体的なメリットについては、次に説明します。

弁護士に相談することで、債権者からの直接的なプレッシャーを軽減するとともに、不当な要求を拒むことができる可能性が高くなります。

弁護士に相談するメリット

勝手に連帯保証人にされてしまい、債権者から請求が来た場合、まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで得られるメリットは、主に以下の2つです。2つのメリットについて詳しく解説します。

なお、弁護士に相談するためには弁護士費用が必要ですが、法テラスを活用すれば、一定の条件下で無料の法律相談や費用の立て替えを受けることも可能です。

法的なアドバイスがもらえる

弁護士は法律の専門家であり、連帯保証契約の有効性や、身に覚えのない請求を受けたときの適切な対処法をアドバイスしてくれます。

連帯保証契約に関するトラブルは、民法や刑法など複数の法律が絡む複雑な問題です。弁護士に相談すれば、連帯保証義務を負っているとされてしまったりすることはなくなるでしょう。

交渉や訴訟を代理してくれる

弁護士は、法律的な手続きに関するあらゆる代理権を有しています。本人に代わって債権者と交渉することが可能ですし、仮に訴えられた場合でも訴訟代理人として本人を代理して適切な主張を行うことができます。

特に訴訟においては法的な書面の作成や裁判所のやり取りが発生するため、非常に専門的であり本人で対処することは難しいと考えられます。弁護士を代理人として立てることで、不慣れな法的交渉を一任することができるため、精神的な負担は軽減されるでしょう。

また、弁護士が交渉を代理することで、債権者が慎重になり不当な請求をあきらめたり、迅速な和解が成立したりすることも考えられます。

まとめ

今回は、勝手に連帯保証人にされてしまった場合の対処法について詳しく解説しました。債権者から身に覚えのない請求が来た場合、まずは債権者や債務者が誰なのか、どんな内容の請求なのかを確認することが重要です。

そもそも契約書がない状態で請求してきているのであれば無効ですし、契約書が存在している場合でも、偽造である場合や勝手に押印されたような場合には契約が成立しない旨を主張することが可能です。

身に覚えのない請求が来た場合、早めに弁護士に相談するようにしましょう。自分で対処すると法的に誤った対応をして取り返しのつかない事態になるかもしれません。早期に弁護士をつければ、法的に誤った対応をすることはなくなります。

慌てて債権者に支払ったり猶予を願い出るようなことをせず、落ち着いて対処するようにしましょう。

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田島 聡泰 (たじま あきひろ)
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